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堀畑蘭 × PRODUCTS STORE たっぷりな座談会

01 誰かの手に渡って、喜ばれることが自分にとって向いている
02 デンマーク留学で触れた「自分を何より大切にする」という感覚
03 自立した作り手をどんどん輩出した「九谷青窯」の存在
04 作っているものに滲み出てしまう「その人らしさ」がある

<今回の参加者>
陶芸家 堀畑蘭
株式会社ユープロダクツ 代表取締役 平子宗介
PRODUCTS STORE 店長 長山晶子
インタビュアー・編集者 笹田理恵
撮影 上田雪江(PRODUCTS STORE スタッフ)

石川県野々市市で作陶をする陶芸家・堀畑蘭さん。石川で生まれ育ち、県立の工業高校を経て、九谷焼技術研修所に入学。デンマークの芸術学校、ボーンホルムス・ホイスコーレに4か月間留学し、2017年に九谷青窯(くたにせいよう)に入社。その後、20年に独立されました。
日本を代表する色絵陶磁器の九谷焼。伝統の唐子、植物や動物をモチーフとした緻密な絵柄。見ているだけで楽しくなる鮮やかな色使い。堀畑さんの世界観に引き込まれる器たちは、日々を楽しく彩るものばかり。
25年1月25日からPRODUCTS STOREで開催されている個展を前に、23年に新たに構えた堀畑さんの工房で座談会を実施。堀畑さんが器づくりを志したきっかけ、デンマーク留学の経緯、そしていまは閉じてしまった唯一無二の窯元「九谷青窯」の存在。30代になったばかりの堀畑さんが見据える未来についてもじっくり伺いました。

【堀畑蘭 × PRODUCTS STORE たっぷりな座談会】
01

誰かの手に渡って、喜ばれることが自分にとって向いている

平子 : 堀畑さんは、なるべくしてなった石川県の作家という印象です。

堀畑 : もともと作ることを仕事にしたかったから、地元の工業高校と九谷焼技術研修所という道を来ただけで。

ものづくりを仕事にしたいと思ったのは、いつからですか?

堀畑 : 小1から絵画教室に通って、いろんなことをやらせてもらえる教室だったから粘土も触っていました。彫り刻んだり、かたちづくることを「彫塑(ちょうそ)」というんですが、絵よりも彫塑の方が楽しいし出来栄えの完成度も満足がいくものが多かったので、私は粘土が向いているのかなと思っていました。

教えられたというより、自然に手を動かしていたらいいものができる感覚ですか。

堀畑 : 絵は正解が分からなくて、「先生、次はどこを塗ればいいですか?」という感覚だったけれど、粘土は言われなくても黙々とやれていたんでしょうね。

平子 : その後、石川の県立工業高校に通うことになる。

堀畑 : 私は工芸科で、高3の夏休みまでは求人情報を見ていたんです。でも、働く想像ができなかった。実習で陶芸する時が一番楽しいのに、それをする場所がない。自分は何になるんだろうって漠然と思っていました。夏に友人のオープンキャンパスについて行ったのが九谷焼技術研修所でした。

長山 : オープンキャンパスで知ったんですね。

堀畑 : 九谷焼をするかは分からないけれど、まだ陶芸がしたいという気持ちで行ってみようと。まだ授業でものづくりをしていたいという欲ですね。

粘土と絵付け。いまでは、どちらも兼ねるものづくりをされています。

堀畑 : 筆の線運びは研究所で身につきました。古いものが好きなのでベースになっていますが、いまも新作の絵柄に対しては脳みそを絞り出しています。

長山:そうなんですね!

堀畑 : 形に対しては作りたいものがどんどん出てくるけれど、絵は何を描こうか悩む。描くのも好きですけど、やっぱりデザインは絞り出していますね。

この地で生まれて幼い頃から九谷焼を見ていて、どんな印象を持っていましたか?

堀畑 : 私は唐子をよく描きますが、唐子がかわいいと思うようになったのは研修所に入ってからですね。研修所に展示された古いものを課題の題材として並べていた時に、ふとキュンとする感情が出てきた。勉強し始めてから魅力的に感じるものになったんだと思います。

平子 : ご実家では、こだわった器を使っていましたか?

堀畑 : 全然。でも、百均の器とかは使わない家だったかな。生きていくための食事じゃなくて、母は食事を楽しむために盛り付けることを意識していたかもしれない。研修所に通い始めてからは、私の失敗作が食卓に並んでいます。未だに高校の時に作ったものが、毎朝パンを食べる器になっていたりもする。

平子 : ものづくりを仕事にしたい気持ちがあった上で、食器創作が一番しっくりきた。

堀畑 : 研修所3年目で自分の作品を販売した時にお客さんと話す機会があって、食器は人の手に渡る様子が一番分かりやすいと感じたんです。誰かのものになって、手に渡ることで喜ばれるのは自分にとって向いている気がする。もともと誰かを楽しませたりサプライズしたり、喜んでもらうことに喜びを感じるタイプだから、自分のものを使って喜んでくれるのは、なおさらうれしいですね。

【堀畑蘭 × PRODUCTS STORE たっぷりな座談会】
02

デンマーク留学で触れた「自分を何より大切にする」という感覚

九谷青窯へ入社する前に、寄宿制で芸術教育を受けられるデンマークの学校、ボーンホルムス・ホイスコーレに入学。自由で独特なシステムの学校ですよね。

堀畑 : 独特でしたね。本当に4カ月間のびのびと自由に生活していましたね。

長山 : なぜ留学しようと思ったんですか?

堀畑 : 先輩の作家さんからホイスコーレに通った話を聞く機会があって知りました。就職前に海外の文化に触れておきたいという漠然としたものでしたね。

平子 : 北欧文化に対するリスペクトもあったんですか?

堀畑 : もともとフィンランドやデンマークの家具や雑貨はかわいくてセンスがいいなぁと思っていました。北欧はほっこりしているイメージもあって優しく受けて止めてもらえそう。飛び込みで行くけど安心・安全は絶対に確保したかったから、全寮制で3食付きの環境がベストかなと思って。

長山 : 課題は与えられるんですか?

堀畑 : こういうことをやろう、というテーマみたいなものはあったかな。私は陶芸とガラスのクラスでした。英語が分からないからニュアンスで聞いて、みんなの様子を見ながら理解して。英語の勉強より創作の時間が長かったからすごく救われました。高校と研修所で培ったろくろや絵付けの技術があったから、しゃべるよりも作ってコミュニケーションが取れた。

言葉が分からなくても、ものづくりから関係性が生まれる。

堀畑 : 染付の呉須と筆だけ持って行ったんです。描いてみたら「すごいね!」と言葉が話せなくてもコミュニケーションが生まれる。

平子 : 素晴らしいですね。

堀畑 : 「どうやったら、そんな風にろくろをまっすぐにひけるの?」とか。見て覚えろって感じでコミュニケーションをとっていましたね。笑

フォルケホイスコーレの4ヶ月の経験は、いまの堀畑さんに影響を与えていますか?

堀畑 : 作風への直接的な影響よりも環境づくりや働き方かな。向こうは、休憩をこまめに入れて、自分を大切にすることを大事にするんです。一日に何回もブレイクタイムの時間がしっかりある。

平子 : 十分に休むことを大事にする環境。

堀畑 : コースが同じ日本人の女性と私は、休憩時間になっても黙々と作業してしまう。でも、おばちゃんたちに「休む時間はちゃんと休む !」と休憩室に連れていかれて。一息つく時間をすごく大切にしている。

長山 : 日本の時間感覚って私たちに染み付いていますもんね。

堀畑 : 日本は、基本的にしっかりした休憩はお昼だけじゃないですか。デンマークは、何時間かに1回チャイムが鳴って15分の休憩がある。食堂には毎回コーヒーとクッキー、バナナとかのおやつが置いてあって、みんなで集まってつまむんです。

常々、「自分を大切にする」という感覚が大事なんですね。

堀畑 : みんな、自分が一番です。

平子 : そこは日本人が苦手なところ。特に組織に属すると自分を失いがち。

堀畑 : 私の通ったホイスコーレは離島にあって、バカンスに来る地域だから長期滞在で休暇を楽しみながら通う人もいる。高校卒業したばかりの子もいれば、おじいちゃんやおばあちゃんもいて年齢の幅が広い。私は、言葉が通じなくてもそばにいてくれるおばあちゃんとずっと一緒にいました。お散歩の時にも隣にいて、それが安心につながっていたかな。

平子 : 年齢制限がなく、いつでも学べる背景が面白いですね!

堀畑 : しかも、年齢に関係なく平等なんですよね。おじいちゃん、おばあちゃんもすごい長距離を歩くし元気。対等にバチバチで意見も言い合う。そこがいいなぁと思っていました。

【堀畑蘭 × PRODUCTS STORE たっぷりな座談会】
03

自立した作り手をどんどん輩出した「九谷青窯」の存在

平子 : 帰国後は、デザインから成形、絵付けまで一貫して行い、全国から作家が殺到する九谷青窯へ入社されます。どんな経緯だったんですか?

堀畑 : 青窯に決めた理由は、自分で成形したものにデザインをして絵付けする一連の工程を全て自分でやれるから。そうしないと独立は難しいかなと思って。

長山 : 問い合わせて、面接して入社という流れですか?

堀畑 : 電話して研究所で作ったものを持って行って、代表の秦さんと話して、履歴書も渡してないけど、「まぁ、うちがいいと思ったら来なよ」と言ってもらえた。給料とかも全然気にせず、ここで働かせてもらえるならいいやと思って。

長山 : すごい!

堀畑 : その後に5日間だけインターンとして青窯で作る機会があって、いきなりろくろに座って、見よう見まねでひいて。雑多に置かれた先輩の生地に染付して焼いてもらった。それっきり何の連絡もなくて不安だったから、デンマークに行く前に「私、青窯に行きますからね」って念押しの電話を入れて。笑

平子 : 長山は前職から、僕も長年、代表の秦さんとやり取りさせていただきました。2020年に秦さんが亡くなり、翌年に閉業されましたが、後にも先にも九谷青窯に代わる窯元はないと思う。従業員が作り手として実り始めた時に独立させていたんですよね。

堀畑 : 秦さんのすごいところは、そこですよね。

平子 : 会社を経営する身から考えると信じられない。個別に指導されることも少なかったそうですが、先輩の姿を見ながら学んでいたんですか?

堀畑 : 私はある程度ろくろができていたのもあって、作るものに関しては最初から放し飼いでしたね。でも、先輩のことはめっちゃ盗み見してたと思います。

平子 : 当時は、青窯に人気作家が勢ぞろいしていた。作っている現場から殺気が出ていたくらい。

堀畑 : そこも運かなと思いますが、私がいた時はフルメンバーが揃っていた。青窯にはすごい面々がいて、名前が書いていなくても誰の作品か分かる。私もそうなれたらいいなと思っていましたね。

平子 : 仕事のアドバイスやダメ出しもされないんですか?

堀畑 : 私は、粘土のしっぴきがうまくできなくて器が少し歪んでいたんですよ。何故だろうと悩んでいた時に秦さんが原因を突き止めてくれた。私は無駄な工程が一つ多かったんです。たったこれだけで変わるの?という感覚でした。きっと、すごく見てくれていたんですよね。

長山 : 見ていない風なのに。笑

堀畑 : そう!私のしっぴきする様子、そーっとムロに行って「なんで蘭ちゃんのは歪むんだ?」って見ていたと思う。

平子 : その育て方ってすごい。自分で学べる人はすごくいい環境だけど、待つタイプの人にとっては難しいですよね。

堀畑 : 向き不向きがある窯元だとは思っていました。すごく考え込む人は、秦さんがさらっと言ったことに対して影響されすぎてしまう。私は言われても覚えてない。笑

平子 : 自分がしっかりあるっていう。笑

堀畑 : 褒められて伸びるタイプだから良いことだけを耳に入れていました。秦さんの長い話も必要なことだけ吸収して、早く作らせてくれ~って思いながら聞いていました。笑

平子 : 最高ですね。

堀畑 : でも、秦さんは直接褒めたりはしないんです。褒められたことは全然ない。

長山 : 外部の人には話しているのに。堀畑さんが入る前に「来年はすごい子が来るから」と言っていました。秦さんも堀畑さんとしゃべっている時はデレデレしていたし、おじいちゃんの顔になってた。笑

堀畑 : 私もおじいちゃんおばあちゃんが大好きだから、そういう気持ち。笑 秦さんは憎めない。

平子 : 繰り返しますけど、後にも先にも九谷青窯の代わりはないし、秦さんの代わりもいない。僕らのお店をオープンした時も急に現れて漁港で買った海産物を持って来てくれて驚いたし、すごくうれしかった。恩返しもできないまま亡くなってしまった。だからこそ、堀畑さんをはじめとする作り手さんとのご縁を大事にするしかないと思っています。本当にありがたい人だった。

長山 : いまでも秦さんの話をしていると近くにいる感じがする。

堀畑 : きっと、その辺りにいると思う。笑 この工房も見せたかったな。

【堀畑蘭 × PRODUCTS STORE たっぷりな座談会】
04

作っているものに滲み出てしまう「その人らしさ」がある

平子 : 独立して自分のものづくりに集中されていますが、今後の目標はありますか?

堀畑 : 青窯にいた時から自分の工房を持つことが夢だったので、それは叶えられた。ここでどうしていくのか。忙しくなってきて自分のキャパにも限界があるから、スタッフを入れて量はもっと作れるようになるといいのかなと思うんですけど、青窯の時から一人でやっているのが染み付いちゃって。そこはなんとかしなきゃ、と思っていますね。

平子 : 独立のモチベーションがある人なら九谷青窯スタイルで堀畑さんから学んで、盗めるものを盗んで卒業する仕組みも相乗効果がありそうです。

堀畑 : そうですね。私は最近30代になったばかりですが、まだ「自分の技を人に盗まれたくない」というメラメラした気持ちもあって。でも、そうも言っていられない状況に置かれて人手が欲しくなっている。

長山 : そうだったんですね。

堀畑 : でも、最近は意外と“盗まれた”という感情にならないかもと思えてきました。やっぱり自分のクセは、人それぞれ作っている時に出ちゃうから。それは盗まれたというより、その人“流”になっていくもの。

“その人らしさ”は作ったものに、どうしても滲み出ちゃうものですよね。

堀畑 : 本当にそうなんですよね。私も先輩から学んだものが自分流になっていったように、一つのものを作る工程や、ちょっとした手の動きはその人のものになっていく。少し前までは何に対しても盗まれる、みたいな幼い気持ちもあったけれど、全然いいやって最近は思い始めてきたんです。

平子 : 大きな変化ですね。僕らの産地でも窯元の技術は外部に知られたくない風潮があった。特に美濃は量産が多いからオマージュしやすい。でも、閉じていた人たちがシェアの時代だと言い始めています。堀畑さんがおっしゃったように、同じ釉薬と生地を使っても窯が違えば表現は違うものになる。むしろシェアすることでお互いに相乗効果を生み出して、産地の体力にしていかないといけない。いまは削り合っている時代じゃない。みんなの基礎体力を高めていこうという考えの人がすごく増えています。

堀畑 : 技術を残していく人が増えたほうがいいですもんね。

平子 : 自身のアイデンティティがしっかりしてきたからこそ、できることでもある。堀畑工房からの作家さんが誕生する未来も見てみたい。青窯の卒業生の方から脈々と秦さんのDNAを感じられるのも財産ですね。

平子 : いまは釉薬の開発にも挑戦されています。絵付けのない、形を生かす器も今後は取り組んでいきますか?

堀畑 : いつかは原料からブレンドして自分の釉薬を作りたいですね。もちろん絵付けの展開もしていきますが展示会で少しずつ出していけたらいいな。

長山 : 他の作家さんの展示を見に行くこともありますか?

堀畑 : 活躍されている作家さんの展示は行きたくても行けていないかな。出張先の美術館で古いもの見る方が多いかもしれない。古いものは洗練されているから、いい部分をだけ盗むんじゃなくてリスペクトして描かなきゃと思っています。

平子 : 堀畑さんが好きな作家さんはいらっしゃいますか?

堀畑 : 伊藤慶二先生ですね。大好きなんです。

平子 : 土岐で作陶されている伊藤慶二さん。

堀畑 : 研修所の授業に来てくださったのをきっかけに作品を知りました。授業では器の実演もあって、高台に切り込みを入れただけで伊藤慶二先生のものになるんですよね。

平子 : それだけで!

堀畑 : そこから何度か展示も見に行って、さらに好きになりました。

平子 : 日々を仕事に専念されている印象ですが休みは取れていますか? デンマーク流の休憩もしっかり取りながら。

堀畑 : そうしたいんですけど……。家族が土日休みだから、どうしても怠けちゃう日曜日とかもあるんですけど、忙しい時期は休みを考えずに日程を組んじゃいますね。

毎日の工程スケジュールもしっかり組んでいるんですか?

堀畑 : 1日の目標はあまり設定しないけれど、窯の日程を逆算しないと間に合わなくなるから窯を焚く日に合わせたスケジュールになりますね。でも、どうしてもノルマが達成できなくて半日とかズレていくんですよね。余裕を持ってやらなきゃいけない。

平子 : しっかりしていてリスペクトが止まらない。

堀畑 : 朝、調子よく工房に来れた時が一番いい。でも、前日の夜が遅いとズレ込んでしまうのでリセット日を作ります。こんな生活ダメだ !って帰って、次の日の朝ちゃんと来る。

平子 : 自律できているんですね。ちなみに仕事を抜きにして休みが取れるとしたら、やりたいことはありますか?

堀畑 : なんだろう……イオンとか行きたい。笑 そういう普通のことをやれていない。

平子 : それって究極に忙しい人が思うやつ。笑

堀畑 : 山に行って癒されたい、とかでもなく普通の休日を。

長山 : きっと仕事と趣味も重なる部分があるからこそ。

堀畑 : この職業って好きなことをやっているし線引きが難しいですよね。工房を自分の城みたいに作れたから、まだ整ってないスペースの家具とか展示棚は買いたいですね。いま休みが取れたら見に行きたいな。

平子 : 忙しい中でも、世の中のニーズを捉えて作り続けられるのは稀有なことだと思います。

堀畑 : 楽しくなきゃダメだとはずっと思っていて。苦しくなったら何してるんだ、って気持ちになるから頑張って楽しめるように。私にとって個展はすごく大変だけど楽しくもある。新作を考えているときは切羽詰まっているけれど楽しかったりもする。

平子 : 適性があるからこそ。

堀畑 : たくさんの注文を作るのも大事な仕事ですが、自由度が高い展示が1年に何回か入ると、大変だけど楽しい感覚が強くなりますね。

長山 : 堀畑さんの作品は、美濃で見るとより一層新鮮です。オープン当初に並べていたものも、地元の作家さんが買ってくださっています。

堀畑 : PRODUCTS STOREは産地のものを中心に置いているので、私もドキドキします。

堀畑さんは、お客さんと接する機会を積極的に持つ方ですか?

堀畑 : 個展だけですね。ファンです!とか、いっぱい持ってます !と言ってもらえるとビックリしちゃって。うれしい~!って気持ちになります。不思議な感覚にもなるんですよね。

長山 : 不思議?

堀畑 : いままでたくさん作ってきてはいるけれど、この工房で自分の手から出てきたものが、こんなに広がっているの?と不思議に感じるんです。「この柄を買いました」って、一点物だと覚えているものもある。そういった声を聞くと、あの時の器はこの人が買ってくれたんだとつながる。

器を作り始めるとき、人の手に渡る感覚を求めていた堀畑さんだからこそ、喜んでもらった実感が得られるのはうれしいことですね。いまここにある器たちも、誰かのもとに届いていく。

堀畑 : 作家あるあるですが閉じこもって作っているから、売っている場所に自分が出向いて、お客さんと話すと不思議な感覚になるし、そこでようやく誰かの手に渡っていると実感できるんです。

平子 : 堀畑さんの人柄だからこそ、作家としてここまでのプロセスがたどれるんだと腑に落ちる内容でした。PRODUCTS STOREでの展示も堀畑さんにとって良い機会になったらうれしいです!