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PRODUCTS STORY

小澤基晴×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会

01 反骨心と劣等感を持って、作風に向き合った時代
02 生活するためのしごと、生きる喜びを感じられるしごとが一致する状態
03 プロの仕事は「自己満足」とかけ離れている。人を知り、社会を知る
04 洋服や音楽と同じように、器を好きになってほしい

<今回の参加者>
陶芸家 小澤基晴
株式会社ユープロダクツ 代表取締役 平子宗介
PRODUCTS STORE 店長 長山晶子
インタビュアー・編集者 笹田理恵

撮影 加藤美岬

岐阜県土岐市妻木に工房を構える陶芸家・小澤基晴さん。横浜で育ち、20代で陶芸教室をきっかけに美濃の地に移って陶芸を学びました。現在は、個展の来場が抽選制になるほどの人気作家として知られていますが、意外にも表で語る機会はこれまで少なかったそう。今回は小澤さんの作風を確立された頃から現在に至るまでのものづくりの変遷、仕事に対する価値観や考え方について伺いました。

「器」をつくる向こう側には、いつも「人」がいて、「物語」がある。手に取ってくれる人の生活に想像力を働かせ、心を揺らし、手を動かし続ける小澤さん。包容力のある心の眼差しと、まるで子どものような純粋な好奇心、プロフェッショナルとしての哲学が座談会から感じ取れるはずです。飲み仲間でもあるメンバーで、ざっくばらんに話した内容を記事として届けます。

【小澤基晴×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会】
01

反骨心と劣等感を持って、作風に向き合った時代

平子 : 小澤さんは、20代で多治見工業高校の専攻科へ入られたんですよね。

小澤 : あまり背景のある話じゃないです。20代の頃はけっこうプラプラしていて、どうにもならんと思って飛び込んだ世界で。

陶芸体験で作陶してみたら思いのほかできた、というのが陶芸家を志すきっかけになった。

小澤 : そう、思いのほか良かった。自分の才能は信じていたので何でもやればできるという感覚でしたね。

平子 : プラプラしている時も、自分に合ったものを探している状態だったんですかね。

小澤 : よくいるタイプですよ。謎の万能感があったけれどギリギリだと感じていたんです。いま何かを始めないと手遅れになると思って飛び込んだ。だから必死でしたね。20代で美濃に来て、初めて一生懸命になれたんです。

長山 : 元々、やきもの自体は好きだったんですか?

小澤 : 僕は益子焼などの民藝が好きだったんですよ。漠然と陶芸家になりたいという気持ちはあったけれど、益子焼の窯元に入って仕事にするというのは職人的な仕事。濱田庄司や島岡達三の作品は素朴で好きだけど、益子で作家になることが想像できなかったから美濃を選んだ。美濃の方が自由な感じがしました。多治見工業も試験さえ通れば年齢問わず入学できるし、作家を育成する学校だったので2年間通えば何かが開けるのではないかという思いで来ました。

平子 : 何のツテもなく、自分で調べた中でこれが適していると判断した。出身の関東から美濃に来るという大きなチャレンジですよね。

小澤 : 無謀というか、何も捨てるものもなかったから。学校生活はとてもタメになったんですが、元々好きだった民藝的な考えや作り方と美濃にいる先生たちの求める作風はかけ離れていた。平たく言うと「民藝は作家じゃない」みたいな雰囲気があって。例えば、自然に丸いものを作ろうとして結果的に少し歪になったというのが僕の好きな考え方ですが、茶碗を作るときに一生懸命口元を歪めたり、削ったりしていたんですよ。偉そうな言い方ですが、その操作は不自然な考えだと僕は感じた。

平子 : 恣意的なことですよね。

小澤 : 学校ではそれを強いられる。嫌だなと思いながらも、そういうものかという葛藤の中で20代を過ごしました。だから自分らしさというものが当時からあったかどうかは分からない。自分自身が元々持っている美意識や動機を否定されて、「また自分で違う価値観を生み出さないといけない」と無いものを一生懸命掘り起こしていた。だけど「そんなことしなくていいじゃん。自分らしくいこう」と思えるようになりました。

長山 : 紆余曲折があったんですね。

小澤 : 僕の作品を型で作ったみたいだとか、きれいだと言ってもらえるんですよ。いまはそれがうれしいんだけど、若い頃は「型で作ったようなものはやめなさい。手作りの意味がない。機械には負けちゃうんだから」とすごく否定されていました。もちろん当時もどこかで反発していましたよ。「いいじゃないか。それでも手作りをするんだ」って。でも、反論に値するものは何もなかったから、自分が成功しないといけないなと思いました。

平子 : なるほど……。

小澤 : 反骨心と劣等感もありました。僕は美大出身といったバックグラウンドがなく、ぐらぐらしていたので。反骨心と劣等感を正面から見据えて克服するまでけっこう時間かかった。でも、いまだに現状は信じられないですよ。褒めていただくこともあるけれど……まだ自信ないなって思います。

平子 : 安心しないというのも向上心につながる大事なことですよね。葛藤の中で新しいものを作られて、それが世の中に受け入れられているわけですから。

小澤 : いま思えば、なぜそんなことを悩んでいたんだろうと思うけど時間かかりましたよ。

いまの作風にたどり着いたのは、いつぐらいですか?

小澤 : 10年ぐらい前じゃないですか。僕は学生の頃から釉薬を作るのが好きだったんですよ。その頃にお世話になった先生が鉄を使った釉薬の多彩な表現をされていて、単なる憧れから食器を鉄釉で表現をしようと考えた。「小澤さんの鉄釉はすごく多彩できれいだね」と言ってもらえるような作家になろうと。でも、いまは酸化金属、酸化銅、織部などの原料を使っています。

長山 : 当初に持っていたこだわりを手放す出来事があったんですか?

小澤 : 青い釉薬の「翡翠」のテストピースができた時にきれいだなと思ったんです。鉄釉にこだわっていたから迷って、考えて。でもInstagramにあげたらすごく反応が良かったから、いいかと思った。そこから鉄釉のこだわりを捨て、すみれやゆかりなどを作るようになりました。僕は釉薬作るのが好きだったから自由になったんです。

【小澤基晴×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会】
02

生活するためのしごと、生きる喜びを感じられるしごとが一致する状態

小澤 : 平子さんたちは美濃のいろんな作家を見ているでしょ?僕は、食器で使いやすいもの、感じのいいものを作っているけれど、同業者から「小澤さんは変態ですよね」って言われる。

長山 : 変態ですか。笑

小澤 : ずっと同じものを作っているから。普通は飽きちゃうし、そんなの絶対嫌なはずなのにと言われることがあって。これってどう思います?

平子 : これは仕事なのか、自己表現なのか、食べるネタなのかという要素が複合的に絡み合いますが、小澤さんはプロフェッショナルだという印象です。お客さんの満足するものを作りながらも視野が広くて存在感がある。自己表現だけで終わっても生業にならないと思うし、その辺りのバランスは作り手の個性だと思います。

小澤 : PRODUCTS STORYの座談会を読んでいても、量産を続けてきた窯元さんが作家のようなものづくりを始めたいとおっしゃっていて、多くの方がいつかは自分の表現をされたいんだなと。僕はあまりそういうことを考えたことない。ずっと前に平子さんも僕に「小澤さんにとって陶芸はライスワークとライフワークのどちらですか?」って聞いてきたことがあったじゃないですか。

お金を得るためだけに行う仕事の「ライスワーク」と、生きる喜びと一致している「ライフワーク」という考え方ですね。

小澤 : その時は出し抜けだったので答えられなかったけれど、僕はライスワークもライフワークも同じなんですよ。

平子 : それが一致しているのは、ものすごく幸せなこと。

長山 : 小澤さんは、この仕事が好きなんですね。

小澤 : 好きですよ。自分の仕事は。

平子 : そう言えたら素晴らしいことなんじゃないかなと。そういう作り手さんがたくさんいたら我々もうれしいです。

小澤さんは普段どんな風に作陶されていますか? 時間を決めて仕事していますか?

小澤 : 終わる時間は決めていないけど、朝ドラを見た後から仕事。普段は休んでいないですね。飲みに行くとかの楽しみはあらかじめ決めておいて、そこに合わせて仕事の帳尻を合わせていく感じ。

長山 : 個展前はずっと制作ですよね。

小澤 : 朝から晩まで。

平子 : そりゃそうですよね。毎回、展示で並ぶ枚数がものすごいですもんね。

小澤 : PRODUCTS STOREでの展示も頑張りますね。

長山 : ちなみに小澤さんは日常的に泳ぐと伺って。遠方の個展でも水着を持参して合間に泳いでいるって。

小澤 : そう、市民プールで。ローカルの喫茶店に行くようなアウェイ感がありますよ。普段は、お昼を食べて13時くらいに行くようにしてる。週4くらい。

泳ぐのが習慣になっているんですね。身体のメンテナンスも兼ねて日常的に泳いでいるんですよね?

小澤 : そう、水泳はフィジカル的に姿勢を意識するから良い。あとね、美意識が出るんですよ。美しく泳ぎたいって。自分がどういう人間なのか、水泳を通して分かる。

平子 : その視点は小澤さんならではじゃないですか?笑

小澤 : 作家は水泳をやるべきだと思う。笑 どうしていま気持ち良く泳げたんだろう?と、どうしていま気持ち良くろくろを挽けたんだろう?という感覚はけっこう近いと思う。

【小澤基晴×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会】
03

プロの仕事は「自己満足」とかけ離れている。人を知り、社会を知る

平子 : 初めて小澤さんにお会いしたのは2012年で作風が確立される頃でした。すぐに巡回展を行い、あっという間に“なかなか買えない人気の器”になられました。

小澤 : その節はお世話になりました。当時はInstagramを一生懸命やっていた時期で、巡回展をやってくださったから「いま大阪にあります」などタイムリーに発信できました。平子さんもすぐ在庫状況を教えてくれて、足りない分を作って送って、お客さんも反応してくれて。コミュニケーションってこういうことかなと実感しましたね。

平子 : 先ほどもお伝えした通り、小澤さんはプロフェッショナルだし必然性を持って人気作家になられた印象です。

小澤 : 名前はおかげ様で少しは知られるようにはなったけど、大変なんだなという気持ちの方が強い。作ったものしかお金にならないでしょ。誰かに作らせているわけでもないし、大変になっていくばかり。「売れている」というと、いい生活している、楽していると連想するかもしれないけど、そんなことはない。売れている人は、みんなすごく大変なんだと思う。

求めている人の手に届くように、ニーズに応え続けるのも相当な労力が必要ですよね。

小澤 : みんな売れたいはずなんですよね。生活しないといけないから、がんばって売らないといけないじゃないですか。プロフェッショナルだとおっしゃってくれるので、あえて言うとすれば、プロとして仕事にしているからには「自己満足」とすごくかけ離れていると思っています。「こういうものを作りたい。こんな表現がしたい」というのはプロアマ問わず、ものを作る喜びを知っている人はみんな持っているもの。ただ、そこに価値観を乗せてしまうのはプロじゃない。「売れなくてもいいものを作りたい」というのが自己満足の極みだと思うから。それは陶芸教室に通う上手な人と同じ感覚だと思う。

平子 : そうですね。

小澤 : だから、人との関わりや別の物事を通じて自分と社会を知ることが必要。個展に足を運んで、買ってくださる皆さんが選んでくださる様子をちゃんと見て実感しないと僕は次のものを作れない。それを確かめて「また頑張れるな」という感じですね。現地に行くのが大事。

手に取ってくれるのが純粋にうれしいという気持ちは前提として、お客様のどういうところを見ているんですか?

小澤 : 例えば、家族構成が分かったらどんな風に使っているのかな?とか。器に対する向き合い方、使い方が人によって違うから。だから「人それぞれだな」というのを知ることかな。

それは確かに社会ですね。

小澤 : 僕には僕の世界があるけど、それだけでものを作ると狭い。僕は自分の世界観だけで作れるタイプじゃない。真理とかは分からないまま死んでいくと思うけど、もっといろんな人を知って、いいなとか素敵だなと感じたり、残業が大変そうだけど一生懸命ご飯を作っているんだなとか……そういう側面をほんのちょっとでも知る。仕事がすごく大変だとか僕のことじゃないから分からないけど想像はできるじゃないですか。それでも、わざわざ買いに来てくれているとか、そういうことに感動するんですよね。

いろんな人を知って、想像して心を動かす。陶芸に限らず、どんな立場でも必要な視点だと思います。

小澤 : まず作家はみんな使ってもらうのがうれしいと思うし、それをもっと実感したいじゃないですか。その機会を大事にしています。

長山 : 実際、小澤さんは個展に足を運んでくださる人との関係性を大切にしていますよね。

小澤 : 駆け出しの頃、鎌倉の古道具店のレンタルスペースでお金を払って自分で器を並べて販売したことがあったんです。そこの店員さんに「小澤さんのお客さんってどういう人ですか?」と聞かれて「え?お客さんなんかいないんだけど」とその時は思った。でもどういう人なのかを考え始めて……同世代の女性に買ってもらいたいなと思った。女性が発する「かわいい」って正直だし間違ってないと思ったんですよ。それ以来、使ってくれる人をある程度イメージして作ってはいるんですけど、外したと思ったらすぐ引っ込める。俺が間違っていたんだって。

平子 : 手に取ってくれる人の反応を見ている。

小澤 : それもコミュニケーションですね。

平子 : 自我を投影しすぎずに、俯瞰して見ている。

小澤 : 自分の作品は気に入ってはいるんですよ。ただあんまり妄信しないようにしています

小澤さん自身が、人を好きな感じもするんですよね。小澤さん自身が「人」への興味が強いのかなと。

平子 : ここにいるメンバーも、小澤さんから質問責めにあったことがある。笑

小澤 : 他人に対する関心はありますね。子どもの頃に想像しませんでした? 目の前に広がる団地の灯りを見て、これだけ営みがあって、どんなご飯を食べているんだろう?とか。僕は普段ここでずっと仕事をしているけれど、そういう感覚を思い出したい。子どもの頃、純粋に灯りひとつひとつに全部物語があると思ったから。

長山 : 好奇心も強いですよね。多治見の街をいろいろ巡っているのも。

平子 : 土岐のグルメと、アンディチャレンジと。笑

小澤 : 好奇心はありますね。僕は地元が好きだし、よそからも来てもらいたいです。

原料がすぐに手に入るなど、仕事環境として恵まれていること以外でも、美濃の地域を気に入っていますか?

小澤 : そうですね。人が好きだし、居心地がいいです。でも、具体的に何がいいんだろう。もうちょっと後から分かるのかな。

平子 : 僕にとっては生まれ育ったまちなので、そういう方がいるだけでうれしい。

【小澤基晴×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会】
04

洋服や音楽と同じように、器を好きになってほしい

長山 : 24年5月にPRODUCTS STOREで小澤さんの一日限定の個展を行います。すごく楽しみです。

平子 : この機会をいただけたことがありがたい。そもそもPRODUCTS STOREがオープンした時も花器を収めていただいたり、Instagramにうちの店を紹介してくださったりと有形無形のお力添えをいただいています。逆に我々が小澤さんに貢献できることは何だろうという思いもありますが、まず地元の人が小澤さんの器を地元で買えるという機会にも価値が生まれたらいいな、と。

小澤 : 振り返ってみると最初の巡回展が僕にとって大きな転換期だったから、ユープロさんに思い入れがあります。だからPRODUCTS STOREができると聞いた時も熱いなと思ったし。今回の展示もありのままを出せるように頑張ります。

小澤さんが美濃に長く住まれている間にPRODUCTS STOREだけでなく、多治見に新町ビルがオープンするなど、まちの変化も実感されているかなと思いますが、いかがですか?

小澤 : 本当にそれはおっしゃる通りですね。新町ビルができて、PRODUCTS STOREができて……そういった動きは何か都市計画があるんですか?笑

長山 : 都市計画。笑

小澤 : 明らかに多治見が変わった。良くなったもんね。

小澤さんのInstagramでは、新町ビルで5Wのお洋服を選ばれている様子も見掛けます。

平子 : 小澤さんは5Wのデザイナー・小野諭さんとは以前から接点があって、たまたま新町でも取り扱っていたという。

小澤 : そうなんです。新町ビルができると聞いた時、自分には関係ないんだろうなと思っていました。でも、5Wの取扱いがあると小野さんから聞いて、最近できた新町ビルで?名古屋や東京でもなく多治見で買えるの?って驚いた。

平子 : 僕も、新町ビルで小澤さんと小野さんとお話させてもらう機会がありました。その時点で5Wを知らずに小野さんとお話して、「こんな素敵な人が作っているんだ」と感じて、新町ビルの水野くんに勧められるがままに手に取って。それまでコンサバな服しか着なかったのに急にワイドパンツなんかも履くようになったし、着れば着るほど良さが分かる。でも、デザイナーの小野さんという人となりを知らなかったら買っていないかもしれない。人の思いに触れ、作っているものを立体的に理解できてファンになっていく。これは個人的な体験だけど、器にも通じると思うんです。

小澤 : 昔から「洋服が好き」「音楽が好き」といった中に「器が好き」というジャンルを受け入れてほしいという気持ちがありましたね。一部の愛好家の趣味で終わるんじゃなくて、お洋服が好きという感覚で器も好きだと思ってもらいたい。

平子 : 我々も強く同感するところです。産業として旧態依然とした流通の中で収まっていて、器マニアにしか売っていない価値観があったと思う。逆にこれは大きな可能性でもあると思うので、産地商社としてそういう領域にも届けられたらと思いますね。コンサバおじさんが5Wを選ぶような、新しい出会いを。

小澤 : 新町ビルの水野くんは、僕に似合うものをちゃんと勧めてくれる。「小澤さんのイメージを誤って伝えたくない」と言ってくれたことがあって、すごいと思った。

それは小澤さんの向こう側にいる人、小澤さんの器のファンに対してもってことですよね。

小澤 : そういうところまで考えて勧めているし、僕の仕事へのリスペクトも感じて。もっと言うなら、僕のお客さんにも間違ったメッセージを伝えたくないということなんでしょう。スタイリストだよね。

平子 : めちゃくちゃすごい。地域がこんな風に面白くなっていくのは我々としても本望です。

小澤 : みんな人間が面白いよね。ちゃんとつながっている。

平子 : 最後になりますが、小澤さんはこれからの具体的な目標はあるんですか?

小澤 : 陶芸を始めてから今まであっという間だったから、これからもっとあっという間だと思うと怖い。今年で50歳になるから……暗い話じゃないけど、これからの20年間って右肩上がりにはいかないと思う。だから、さみしいんですよ。やれることはもうそんなに多くないし、ああしたい、こうしたいと模索する時期ではないだろうと。さみしいなとは思っています。

いまの仕事が好きだからこそですね。小澤さんにとって日々のいちばんの楽しみって仕事ですか?

小澤 : うん、そうだね。仕事があるのがありがたいし、仕事が好きだけど……飲みに行ったりするのも楽しい。また飲みましょうね。

平子 : 展示の打ち上げをしないと!