深山×PRODUCTS STORE
たっぷりな座談会
<今回の参加者>
深山 取締役 販促/開発/品質管理担当 柴田正太郎
株式会社ユープロダクツ 代表取締役 平子宗介
PRODUCTS STORE 店長 長山晶子
インタビュアー・編集者 笹田理恵
撮影 加藤美岬
岐阜県瑞浪市の深山(みやま)は、雑貨から業務用まで扱う食器のメーカーです。泥状の白磁土を石膏型に流し込む技法「鋳込み成形」を得意とし、日々「深山にしかできないもの」を目指してものづくりに取り組んでいます。
今回は、深山のプロダクトデザインを担い、生産現場をまとめる柴田正太郎さんにお話を伺いました。柴田さんのものづくりの信念と深いやきもの愛に触れる前に、まずは「用の美」をコンセプトに生み出された「Kiryo(きりょう)」の器についての話題から。プロダクトデザイナーの大森謙一郎さんを交えての座談会スタートです。
たっぷりな座談会】
「器量よし」のものづくりから始まった関係性
平子 : 「Kiryo(きりょう)」は、ユープロダクツと深山、プロダクトデザイナーの大森さんの三者で取り組んだシリーズです。まずは大森さんに趣旨を伺えたらと思います。
柴田 : 僕も、大森さんにずっと聞いてみたいことがあったのでうれしいです。
プロダクトデザイナーの大森謙一郎さんはオンラインで参加
平子 : 僕と大森さんの「何かやれたらいいね」から始まり、多素材コラボというお題で図面を引いてもらって、蓋を漆器で作り、ポットは深山さんで開発を進めましたよね。
大森 : そうですね。袋物(一輪挿しや徳利など胴より口が狭いやきものの総称)なら深山さんだと思っていました。
平子 : Kiryoは持ち手にかなりこだわって、重さを感じにくいハンドルはたくさんアイデアを出していただき、カップまで広げて商品展開しました。
大森 : ユープロダクツの企画は、生活用品に近い工芸品だと感じていたので生活の動きを重視しました。持ちやすさ、洗いやすさ、食洗機で逆さにしてもフラットに置けるなど……隅々に気配りを持たせたものが形としてきれいに収まるものを目指しています。
平子 : ネーミングも大森さんに決めていただきましたよね。
大森 : Kiryoは「器量よし」から名付けています。派手ではないけど、心配りができている器として提案できるかなと。
柴田 : Kiryoの図面を遡ったら、最初の日付は2016年でした。
長山 : ずいぶん前ですね……!
柴田 : 僕はずっと誰かに聞いてみたいことがあって……というのもOEMのような開発では、頂いた図面に僕が修正依頼として「赤」を入れます。Kiryoも技術面と生産ラインの問題で図面にたくさん書き込みました。あれはデザイナーとしては嫌な気持ちになるんじゃないか……と思っていて。
生産工程と仕上がりをより良くするための修正提案ですね。
柴田 : 産業なので、できるだけスムーズに流さないといけない。生産ラインが「この製品はやりたくない」と感じて気持ちが入らない製品って品質が下がるんです。だから、こちらの都合で修正をお願いするケースが多いんですよね。
大森 : デザイナーでも大きく2パターンいて、一方は自分自身の表現としてデザインをされている人。僕はその逆というか……例えばKiryoだったらユープロダクツらしい形を自分の中から生み出している。なので、デザインの修正が入っても「だったらこうすればいいか」とあまり執着しないですね。
柴田 : 結果論ですが、Kiryoは長く続く製品として通常の生産ラインできちんと作れる段階に至れて安心しています。通常ラインから外れる作業が多い製品は、それがきっかけで先方との仲が悪くなりますから。笑
大森 : いろんなメーカーさんでよく耳にします。笑
柴田 : 開発段階でしっかりとコミュニケーションが取れたKiryoの開発は、すごくありがたかったです。
大森 : 僕自身は柴田さんからの指示で、自分の知識が一個増える感覚です。柴田さんとの相性もいいんじゃないかなと思います。
柴田 : じゃあ、よかった。ずっと心配していたので胸のつかえが取れました。
平子 : 他素材との組み合わせを主眼に置いていましたが、今回は陶器の蓋もトライしました。2月のギフトショーで新商品として並びますし、新しい切り口も加えたKiryoを今後も大事に販売していけたらと思っています。
長山 : 大森さんに率直な質問をされていましたね。
柴田 : スムーズに流れないと生産ラインが嫌がるんです。そして、その段階で顧客に伝えると、後出しになるので絶対気持ちが良くないと思うんです。だから最初に万が一起こりそうなことまで全て赤を入れるようにしているんです。とはいえ、入れすぎかなと思ってもいましたから…。
大森さんのデザインの軸は壊さないようにしつつ、円滑にものづくりができるものを。
柴田 : そう、やりたい意図はできるだけ汲みながら、スムーズに生産し供給できる製品に仕上げないといけない。サンプルが完成じゃなくて、生産ラインで流れ始めて安定供給できるようになって初めて製品となるので。
平子 : むしろ誠実さを感じますよね。実際は、作り手さんが「できる」と言って生産したら無理だった場合が多い。「これは事前に分かったのでは?」みたいなことがいまだにあるから、事前に言ってもらえた方がありがたい。柴田さん自身もプロダクトデザイナーですし、工場に対する責任感が強いからこそ、当然リスクを伝える必要がある。
柴田 : 工場としてもたくさん流れてほしいし、その時に生産ラインの負担にならない製品にしていきたいですね。
たっぷりな座談会】
現場で「100点」を保ち続けられているのだろうか?
「生産ラインの気持ちが入らない製品は生産力が下がる」という視点は、すごくハッとしました。
柴田 : 深山が得意とする鋳込み成形は、型であってもほぼ手作業です。型を丁寧に置くかどうかだけで違う。粗く扱えば型は摩耗して早めに質が悪くなります。生産ラインと意思疎通が取れていればちゃんと考えて動いてくれます。
長山 : そういった積み重ねが品質を左右するんですね。
柴田 : でも、メーカーと依頼主が直接話すのではなく、ユープロさんが間に入ってくれるからこそ言えることもある。どちらのせいにもしない「間」の存在って重要ですよ。
平子 : ですね。笑
柴田 : そこは商社の存在意義だと思う。自社で販売会社を持つ深山が言うのもあれですが、メーカーはものづくりに集中できた方がいい。その方が製品の精度は上がるし技術も蓄積できる。いいパートナーがいて物流や販売をやってくれれば、メーカーはものづくりに集中できる。
平子 : 力のあるメーカーが自ら販売することを模索されたけど、作りながら売る難しさ、お客さんのメリットをどれくらい提供できるかという課題は必ずつきまといますね。
柴田 : 物流や販売の手間やコストって膨大ですもん。メーカーがネットショップを始めて、梱包や発送が思ったよりも面倒だと気付くこともあるんじゃないですか?
平子 : ありますね。でも、同時にB to Cでお客さんの声が聞けて、緊張感を持って取り組める効果もあるから、僕はやった方がいいと思うんです。ただ深山さんの規模でさえ自社で販売することへの課題があるのに、家族経営の小さなメーカーさんが片手間でやれることではないとは思います。
柴田 : 自社で販売して売上を作るのは、手間がすごく増えると実感しています。でもクラフトフェアに参加して使い手と出会いがあって、モチベーションが上がるのはいいですよね。発信ならメーカーでもできますから。
Kiryoでも「袋物といえば深山」という話題がありました。鋳込み成形は、深山さんの強みとして知られています。
柴田 : 鋳込み成形は自由度が高い。でも「100点を保つこと」を意識していないといけないと思ってます。外側を形作るだけならそこそこの技術で出来てしまいます。だから、以前と比べて90点の仕上がりでも外側は変わりなく見える。でも本当は10点不足してるんです。それは“厚みの均一性”や“ポットの注ぎ口内側の仕上げ”のような見えないところなので気づけないし、普通には使える。だから「深山さんはきちんとものづくりしている」という評価になってしまう。そうして褒められてしまうと、その10点分に気づく機会はどんどん失われてしまいます。
平子 : 10点の差が埋められなくなる。
柴田 : かつて輸出や引き出物が好調で毎日同じ製品ばかりで窯が焚けた時代は、ものすごい数を作れるから経験値が上がるしノウハウも培われる。だけどそうした職人さん自身が築いた技術やノウハウは体系化されないし、現代は自ら身に付けるほど同じ製品ばかり作るという機会も無いので、なかなか次世代に引き継がれない。だから、そうした技術やノウハウを体系化できる人が現場で拾い上げながら仕様書やマニュアルで残していかないといけない。培ってきたものを残していけるのかどうか。同じものを作り続けているように見えても、実は以前までできていたことができていないんじゃないかという恐怖心があります。だから100点を保つことを意識しないといけないと考えています。出来ているように見えて、以前と異なることが無いだろうかと。
平子 : その緊張感があるから、質の高いものづくりが続いているんですね。
柴田 : すごく個人的な考えですが、やきものの力はすごく信じているし、食器が食卓から消えることはないと思っています。だからこそ「ものづくりが継続できるかどうか」の方が心配。
良質なものづくりを維持できるかどうか。
柴田 : やきものの未来への不安はない。もちろん原料や人材の課題はありますが、それは産業の課題であって、産業であれば何らか対処できると思う。やきものという素材については何ならどんどん生き残っていきやすい時代になっていく気がする。
長山 : 前向きですね……!
柴田 : 僕が入社した20年前は、店頭で売れる製品じゃないと採用してもらえない時代でした。だから世の中で売れてそうな製品を開発しないといけなかった。たとえメーカーとして不得意でもそうした製品を開発しないと採用されなかった。でも、そこからインターネットやSNSが生まれて、消費者がやきものの幅広い面白さを理解してくれるようになり、店頭以外でも製品を選んで頂ける場所が増えてきた。それだけ幅が広がればメーカーは売るための安価なコピー品じゃなくて、自社が得意なものを作っていけば残っていけるはずと考えています。問題は、ちゃんと丁寧にものづくりを続けているかどうか。
たっぷりな座談会】
美濃に戻り、「深山でものづくりがしたい」と思うまで
深山のものづくりの精神に触れたところで、柴田さんの生い立ちについてお聞きしたいです。多治見市意匠研究所で学ばれたんですよね?
柴田 : 大学を出て、家具メーカーで働き、多治見市意匠研究所(以下、意匠研)に通って深山に入ったのが30歳。2003年入社なので20年経ちましたね。
長山 : 意匠研に入る時、作家という道筋は考えていたんですか?
柴田 : いえ、全く考えていないです。僕は多治見で生まれて実家の家業も上絵付けをしていて、子どもの頃から手伝いをさせられていました。小学生のころなので昭和50年代くらいですが、身長が丁度よいので電気窯の中に入って焼きあがったお皿を取り出したり。あっちーなーって思いながら。笑
長山 : 時代を感じますね。
柴田 : ものづくりは好きだけど、やきもの産業はキツイと思って家具メーカーに入りました。でも、規模が大きなメーカーでものづくりの一部しか携われなくて消化不良で、もっとものづくりに関わりたくて地元に戻ってきたら意匠研という施設があると聞いて……ラストチャンスだと思って必死で受験しました。
長山 : その頃は倍率が高かったんですか?
柴田 : そこそこ高かったし、ちゃんと美術の勉強した人じゃないと絶対入れないと言われたので、意匠研の近くに母校の高校があったから美術の先生にデッサンを教えてもらって、その帰り道で意匠研に寄って「僕こんなにデッサンがんばりました」と見せてPRしてました。で、どうにか補欠合格です。笑
平子 : すごい! たしか深山さんの入社もそういう流れでしたよね?
柴田 : 意匠研の同期に石膏型が得意な子がいて、その噂を聞いて深山の今の社長(当時は開発室長)が話に来たんです。その時に「僕もいいですか?」と同席させてもらいました。その石膏型の子はそもそも就職しなかったんですけど、しばらくしたら深山の開発スタッフが辞めたと聞いたので「一人辞めたって聞いたんですけど、採用ありませんか?」と電話して。
平子 : すごい営業力。
深山 : 他に「これは!」と感じる会社がなかったから。
柴田さんが「深山でものづくりがしたい」と思えた理由は何ですか?
柴田 : 当時、意匠研の先輩が入社していて、活発にものづくりができると聞いていました。あと、社長に想いがあると感じたんです。就職先を探して何社か見学しましたが、どこにも想いが感じられなくて失望していたんですけど、深山は、次に進みたいという想いを感じられた。
長山 : 入社して20年続けられた秘訣は?
柴田 : 一番大きいのは製品を作り続けさせてくれるからです。販売や品質管理にも携わりますが、根っこに製品開発がしたい気持ちがありますから。ただ、販売や品質も含めて全てを理解できない限りベストな製品を作れないとも思うので、周辺の業務に関われるのもとてもありがたいです。
長山 : 企画のアイデアは、どんな時に思い付きますか?
柴田 : アイデアはそこら中からです。仕事であればOEM開発でもいろんな要素が工場の中に入ってくるし、様々な価値観に触れられる。プライベートでテレビやラジオで思い付く場合もある。「こんな人間がいるんだ」と感じたら、そういう人に向けて作ってもいいなとか。
平子 : 面白い発想ですね。
柴田さんが入社して20年。消費者やニーズ、形態など……何が変化しましたか?
柴田 : サイズ感はすごく変わりました。先日OEM案件で皿の展開をする際、改めてサイズを考え直しました。僕が入社した頃は、和食器だと寸刻みで、三寸(約9㎝)の豆皿から一尺(30㎝)の大皿まで8段階あったんです。洋食器だとインチ刻みで、バターディッシュ、マカロンディッシュ、ブレッドプレート、デザートプレート、サラダプレート、ミートプレート、ディナープレート、ショウプレート。当時は揃えることがステータスだったけれど、今は10cm、15cm、20cm、25cm の4段階程度を多用途に展開するという印象です。
平子 : 必要なサイズと役割は変わりましたね。
柴田 : テイストは自由になりました。今はネットもあるし、お店の形態も増えた。だから無理して得意じゃないものを作らなくてもいい。
生活様式の変化とか価値観の変化も大きいですよね。
柴田 : そうですね、昔と比べると今の製品開発のほうが気が楽ですよ。昔は店頭にどんな製品が並んでいるのか?とか、雑誌で紹介されているのは何か?とか、調べて回ってその時に選ばれる正解を探さないといけなかった。でも、今は生活様式の幅と一緒にお店のスタイルも幅が広がって「このお店に並ばなくても、あっちのお店やそのネットショップで売れる」で済む。だから、メーカー特性を強くするという観点でもOEM開発は頑張らないといけないし、そのためには知識や技術が大事で、ものづくりをもっと理解できれば可能性は広がると思います。
たっぷりな座談会】
やきものを信じて、仕事に誇りを持つために
割型に泥を流し込み、乾燥してから外す「ガバ鋳込み」の外注先が減っているのも産地の課題ですよね。
平子 : 外注さんの単価が上がらず、後継ぎがいないまま高齢化した経緯は産地の構造の問題だと思います。深山はガバ鋳込みを内製していますが、柴田さんはどう思われますか?
柴田 : そもそも外注だとガバ鋳込みが儲からないという状況がおかしい。問題は「子どもに継いでほしい」と思えるほどの作業費用を出してあげなかったこと。埃が出て汚れる仕事で「儲からない」なんて言われたら継ぐわけがない。あとは人材確保の問題ですよね。やきものが好きで産地で働きたいと思う人いるけど、その人が働き続ける段階までいってない。給料が上がり、仕事を学び、そして働き続けていける環境が必要です。少しずつですがガバ鋳込みの採算が合う時代になってきたはずですから。
平子 : 外注さんが少なくなった分、言い値でお願いするしかない時代になった。
柴田 : やきものは、すごく未来のある産業だと思うんです。意匠研に入ったら地元出身は僕だけで、北は山形、南は沖縄から来ていて、やきものってこんなに魅力があるんだと気付いた。なのに産地で生まれた人、産業で働く人がやきものの魅力に気付いていない。それが一番大きな課題です。もっと仕事に誇りを持てるようになってほしい。
平子 : 現在進行形の課題ですね。
柴田 : でも、その課題の根っこにはやきもの力強さが関わってると思ってます。やきものって良すぎるから、誇りの無い適当な人が作っても、そこそこ見れる製品になってしまう。笑
土や釉薬などの原料や道具としての機能、いろいろな要素として「良さ」があるということですか?
柴田 : それこそ縄文や弥生時代からずっと土からできた食器を使っていて、私たちに染み込んでいますよね。これで食べるとご飯がおいしい、って。
平子 : 日本でのメンタリティとも相性がいい。一般家庭で多品種の器を使う文化は他の国ではなかなかない。
柴田 : 一時期シリコンなど他素材が現れて、「やきものは終わりだ」と言う人もいたけれど、すぐ元に戻っている。やきものはそうやって他素材との競争を勝ち抜きながら、今も食卓にある素材なのですごく強いと思っています。だからこそ、誇りがある産地であってほしいし、そのやきものの良さに気づいた人が外から入ってきて一緒に残していくことができればいい。やきものの力を信じてほしい。
平子 : 多治見の新町ビルもそうですが、30代前後の若い世代にやきものを信じさせるだけの何かがあるわけで。
柴田 : 外の人の方が気付くんですよね。産地の人が気付かないのは、もったいない。
平子 : 世襲や分業の弊害だったりするわけですね。
平子 : 最後に、近くで見ていただいている深山さんから僕らに期待することがあれば教えてほしいです。
柴田 : 深山は自社でできることもいろいろあるけれど、そうじゃないメーカーが山ほどある。だから、ハブみたいな要素として産地全体を盛り上げてほしい。
ハブとして「作りたい人」と「作り手」をつなぐ役割。
柴田 : 新潟県のJR燕三条駅に「燕三条 こうばの窓口」というコンシェルジュがあったんです。壁面にいろんな会社のカードが並べてあって「こういうものを作りたい」と相談したら、コンシェルジュが答えてくれるBtoBの案内所。ユープロさんも美濃に迷い込んだ人を誘導してあげてほしい。
平子 : 僕らも万能ではないですが、ものづくりのパートナーとしてお役に立てる場面があれば、メーカーさんとのハブになり得るのではないかという思いはあります。
柴田 : あと、社長間のつながりはあっても、スタッフが他メーカーの人と話す機会がほとんどない。スタッフの意識が変わるだけでもいろんなことが変化すると思ってます。
産地で働くために移住しても、職場だけでは人のつながりが生まれにくいですよね。
長山 : 意匠研出身だとコミュニティがあるけれど、コロナ禍もあって横のつながりが生まれにくいですね。
柴田 : つながりがあったら「あの人はあんな風にやっている」という情報も入ってくる。たとえ勤務先を退職するにしても、地元に帰らず産地で転職先を見つけられる場合もあるはず。
平子 : こちらの会社で2日、あちらで3日という選択肢があってもいい。いろんな場にアクセスして相乗効果で自分のキャリアになっていけばいい。
柴田 : ドラクエの「ルイーダの酒場」みたいな。笑 そこに集まれば誰かがいて一緒に冒険する人が見つけられる場があるといいですよね。
柴田 : こういうインタビューでいろんなメーカーさんが出て、思いを語れるのもいい。
平子 : インタビューも継続性を持ってやるなら余裕が大事になってくる。こういうことに時間が使えるような経営体制と採算性が担保されているかどうか。「その時間があったら売れるものを探して来いよ」という話では本末転倒だし、楽しくない。なぜ産地商社で働いているのか? やっていることに対して愛情がないなら他のことをやったらいい。僕は、やっていることを面白いと思える知力が大事だと思うんですよね。
柴田 : そう思いますね。
平子 : 何でも楽しめる力が備われば、物事が前向きに進みやすいはず。「どうせやるなら楽しむ」という視点が、この産業にまだ足りていないのかもしれませんね。