PRODUCTS STORE 1周年イベントレポート
2021年、ありがとうございました!
~PRODUCTS STOREが多治見をひかえめにジャックした2日間を振り返りながら~
2020年10月にオープンしたPRODUCTS STORE。コロナ禍で世の中が大きく変化していく中、街の人や作り手の皆さまに支えられながら無事1周年を迎えることができました。2021年10月16日(土)、17日(日)に行われたPRODUCTS STORE 1周年イベントの内容を振り返りながら、多治見のすてきな店と人の一部をご紹介します。
1周年イベントについて
「PRODUCTS STOREが多治見をひかえめにジャックする2日間」と掲げ、PRODUCTS STOREで取り扱う器を飲食店で使ってもらったり、器屋とコラボして販売してもらったりするという内容のイベント。企画の発端は「私たちが支えられている多治見の店を巡ってもらって、つながりを感じてほしい」という思いからです。
一つ目の仕掛けとしたのは、パズル型のDMです。店の最大の魅力である「人」をイラストとして表現させていただきました。
各店それぞれのピースを集めるためには、イベント前から街を巡る必要があるはず……と挑戦的に試みましたが、とても好評をいただき、中でも“大人のコレクター心”をくすぐったのか「どうにか自力で回って集めきる!」という気合たっぷりのご報告も多く寄せられました。
二つ目の仕掛けは、当日に使うマップ。PRODUCTS STOREの視点による参加店の紹介と各店舗さんのマニアックな多治見レコメンドを盛り込んだ主観的な内容にしました。それだけ各店舗に対して伝えたい思いがあるのを感じ取ってもらえたのではないでしょうか。
当日は、街の至るところで、この目立つ蛍光イエローのマップを広げている方をお見掛けしました。うれしくてたまらなかったですね。
では、多治見の街の写真とともに当日の様子を振り返ります。
玉木酒店
ふらっと寄っても実家のようにあたたかく迎え入れてくれる玉木酒店。イベントでは、PRODUCTS STOREで常設展開している作家・河内啓さんの個展「ただいま ~河内家の食卓、玉木家の食卓~」が開催されました。陶芸家の河内家、酒屋を営む玉木家、それぞれの「家庭の食卓」を表現した和と洋の展示。「ただいま」「おかえり」と聞こえてくるような空間です。
1階のanabarでは、河内啓さんの奥様お手製のお菓子とお茶が楽しめる「ミチcafe」も2日間限定オープン! 啓さんの器で、啓さんが淹れてくれたコーヒーとともに味わうという何とも贅沢な時間に。
【玉木酒店】
多治見市本町4-46
9:00~19:00 水曜定休
Instagram @tamahide
喫茶わに
玉木酒店と同じくながせ商店街に位置する喫茶わに。時計・宝飾店を改装したヒラクビルの1階で書店に併設されています。スープにデザート、コーヒーなど時間によって楽しみ方が変わり、多様なシーンに寄り添ってくれるカフェ。多治見ならではのモザイクタイルの装飾が店内の至る所に施されているのも見どころです。
今回はイベント限定で、作山窯の新作「LOOP」を使用したランチ・カフェメニューを2部構成で提供。ランチはビーフシチュー、スペシャルデザートはモンブランタルトとショコラマロンチーズケーキ、そしてペアリングドリンクをセットで味わいます。
柔らかいカラーとシャープな形状で料理の想像力を掻き立てられる器が、喫茶わにの雰囲気にぴったり。ランチとカフェメニューで同じ器を使い、料理によって盛り方・見え方が変わる様を私たちも体感できました。
【喫茶わに】
多治見市本町3-25
10:00〜21:00 水曜定休
Instagram @_wani_hiraku_02
ben
2020年春に刊行したフリーペーパー『PRODUCTS STORY』で丸朝製陶所さんと対談してもらったben。一方的に我々が大ファンだった、という接点がきっかけでご縁をいただき、商品カタログの撮影でもお世話になっています。店全体から哲学を感じさせる稀有な飲食店なのです。今回使っていただいたのも、多治見で100年以上カップ&ソーサーを作り続ける丸朝製陶所のオリジナルプロダクト「%PORCELAINS」です。benの“いつもの”ランチを、いつもと違った器で。
磁器の丈夫さ、扱いやすさを残しつつ、土の温かみを兼ね備える% PORCELAINS。今回のイベントでは、丸朝製陶所のスタッフさんも多く足を運んでくださり、日々作り続けている器を使って特別な時間を過ごしていただけたそうです。
【ben】
多治見市本町5-6-1 R.office B1
11:30〜15:00 不定休
Instagram @ben_tajimi
CAFE NEU!
土岐川沿いに佇むCAFE NEU!は、中毒性の高いスパイスカレーと1歳の娘も大好きなパン(当社調べ)を堪能できる大人気店です。多治見の人間交差点として、多治見に暮らす陶芸家も足繁く通っているのだとか。
ノイで味わえたのは、なんと焼きそばパン! スパイスの効いたインドの焼きそば「チョウメン」が挟まれているこの週末限定メニューでした。2日間だけだなんて惜しすぎる! いつの日か復活してほしい味……。
使っていただいた器は、作山窯の「Sara」。12色あるシリーズから8色を選んでもらいランダムに提供されました。Saraのプレートは、イベント後もお店で使っていただいています。
【CAFE NEU!】
多治見市昭和町19
11:30〜17:00 金17:00〜21:00 月・火・水曜定休
Instagram @cafe_neu
タネヲマク
2020年春に瑞浪市から移転してきたばかりのタネヲマクは、南インドカレーの本格ミールスが味わえるお店です。
フルリノベーションされた店内には店主のワカナさんのこだわりが隅から隅まで詰まっています。セルフサービスで、一人で気軽にお昼を食べられるのもありがたい。
今回は、CAFE NEU! と同じく作山窯の「Sara」を使ってもらいました。豊富なカラーバリエーションで毎日の生活を彩ってほしいという想いで作られた幅広い年齢層に人気の器です。
イベント特別メニューは、ワカナさんが淹れるおいしいコーヒーと、ターメリックと胡椒を使ったペッパーチーズケーキ。ケーキの断面の黄色と皿の配色も効いていました!
【タネヲマク】
多治見市小路町3
11:30〜16:00 不定休
Instagram @tanecurry
新町ビル
多治見の“かわみなみ”を代表する、ランドマーク的存在の新町ビル。器屋同士のコラボとして、2階の山の花では、店主・花山さんがセレクトした窯元の器を2日間限定で販売。
普段は作家のやきものをメインで取り扱う山の花で、作山窯、南窯、兵山窯、丸朝製陶所など窯元の器が並んでいるのは新鮮な光景でした。
そして、3階の“開かずの間”と噂される弊社デザイナー事務所での特別展示では、イベントコンセプトカラーのイエロー×グレーを中心とした器でコーディネート。
イベントのDMとマップも大量に貼らせていただきました!器屋同士のコラボ、第二弾に乞うご期待。
【新町ビル】
多治見市新町1-2-8
12:00〜19:00 月曜定休
Instagram @shinmachi_bldg
茶菓小
住宅街の中にある6席のみの小さなカフェ。門をくぐると池や庭。奥には陶芸家であるお二人の工房も。茶菓小の世界観に浸ると時間を忘れそうになります。
私たちの癒しでしかない店主の小平薫さん。凛とした空気の中でも、小平家の夫婦漫才が時折繰り広げられるところも愛しいお店です。
今回は作山窯の「URBAN」と丸克陶苑の「マーブル」という窯元が異なる2枚の器を薫さんがセレクトされました。写真は、窯の中でその都度変化する窯変釉という釉薬を使って作られたマーブルです。
陶芸家ならではの視点で器と食の相性を楽しんでもらえたようです。
【茶菓小】
多治見市三笠町4-13
11:00〜17:00 不定休
Instagram @cha_ka_ko
CHIC... !
PRODUCTS STOREから徒歩15秒。行くたびに財布のひもが緩む古着店。元ブルックスブラザーズに勤めていた店主・二橋さんは、ファッションへのパッションに溢れ、サスティナブルな発想で常に次世代のことを考えている人。
イベントでは、倉庫で眠っていたさまざまな窯元の器から店主・二橋さんの目線でセレクトしてもらった器の蔵出し市を開催。食器としての用途に限らず、インテリアやディスプレイとして生かされる器を古着とのコラボで再提案。同じ器でも見え方が全く異なるので、私たち自身も発見が多かったです。
【CHIC… !】
多治見市本町1-91
13:00〜20:00 ※火木予約のみ 水曜定休
Instagram @saturday_market_fever
PRODUCTS STORE
PRODUCTS STORE前ではマルシェが開催。農家の鮎飯弁当、野山のリースや農産物を並べてくださったSunpo。台湾スイーツの白トウファと黒トウファを作ってくださったupalaと、この日も開店前から行列ができていた多治見の人気洋菓子店ルポ。おいしいものが並び、笑顔でお買い求めいただく姿は幸せな光景そのものでした。
暮らすファームSunpo @farm_sunpo
upala @upalatajimi
洋菓子ルポ @fruitscafe_
当店2階では「yield展」を開催。yieldとは陶磁器産地で働き暮らす、メーカー・丸朝製陶所と産地商社・U-PRODUCTS、器の消費者でもある飲食店・benの3組が出会ったことで始まった取り組みです。
どれだけ気を付けて器を生産したとしても、全体の1割はどうしても「不良」が出てしまう現実。本当はそこに葛藤を抱えていた作り手側、産地が抱えてきた基準について疑問を持たなかった売り手側、そして世に出回らない「個性品」に対して魅力を感じた消費者側がいっしょになり、yieldの価値観を提示しました。
コロナ禍での開催で迷いを抱えながらも、ご来場くださった方や参加店の皆さまのご協力があったおかげで無事に1周年イベントを終えることができました。
「イベントをきっかけに初めて参加店を訪れた」という声も耳にでき、イベントで果たしたかった役割をひとつ達成できたように感じます。今後も国内有数の陶磁器産地・多治見の魅力をさまざまな側面から触れてもらえたらうれしいです。
2021年最後になりましたが、この場を借りて改めて感謝をお伝えさせていただきます。本当にありがとうございました。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。
PRODUCTS STOREスタッフ一同
photo by Kase Akihiko